任意整理とは、返せなくなった借金のこれから発生する利息をカットした新しい返済条件で、3年~最大5年に残金を分割して返済を完了させる手続きです。
Yさん(25歳女性)はショッピングモールに必ずと言っていいほど展開している有名なアパレルメーカーで販売員として働いています。明るい性格で趣味のダンスにも打ち込んでいましたが、美容整形のローンが払えなくなり任意整理を検討することにしました。
Yさんが家族に知られることなく任意整理で借金を完済した体験談を紹介します。
Yさんの借金完済した成功体験
私の趣味はダンスで、明るい性格が特徴です。しかしながら、今から3年前、私は借金300万円を抱え、毎月の支払いで苦しんでいました。
その当時、私は整形費用のために借金をしてしまい、リボ払いで支払いをしていたら利息がついて300万円まで膨れ上がってしまいました。毎月の支払いが重荷となり、友達に相談してもどうしたらいいか分からずにいました。
そこで、弁護士に相談することに決めました。弁護士に相談すると、任意整理という手続きをすすめられました。任意整理とは、わたしがお金をかりた業者と弁護士が交渉し、返済条件を支払いが遅れないように調整してくれる手続きで、もう少し支払い額が少なければと考えていた私にとっては最適な解決策でした。
しかし、家族にバレずに手続きを進めることができるか心配でした。弁護士は、債権者に対して家族には連絡しないように指示してくれました。また、支払いの方法も月々の支払いを減らしてくれ、私にとっては大きな助けとなりました。
支払いが楽になったことで、生活に余裕ができ、今まで以上にダンスにも打ち込むことができるようになりました。任意整理をすることで、借金の完済までの道のりは長かったですが、無事に完済することができました。
Yさんの借金返済シュミレーション
利息を合わせて300万円あった借金が利息は0になり、返済期間が36月になったことで、毎月の支払いを12.5万円から8.3万円まで減らすことができました。
任意整理前 | 任意整理後 | |
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元金 | 255万円 | 300万円 |
利息の合計 | 45万円 | 0円 |
返済期間 | 24か月 | 36か月 |
月々の返済額 | 12.5万円 | 8.3万円 |
任意整理の仕組み
貸金業者からお金を借り入れすると、返済の際に元金と合わせて利息を支払うことになります。この利息は借入先の貸金業者や借り入れした金額によって異なりますが、利息制限法で定められている上限金利は、10万円未満の場合で年20%、10万円~100万円未満で年18%、100万円以上で年15%となります。
利息制限法の範囲内の利息で借り入れた借金を任意整理する場合、すでに返済している分の利息は減らすことができませんが、将来利息と遅延損害金をカットして、残りの元金を3年~5年程度かけて返済することになります。
また、利息制限法で定められている上限金利を超える利息を支払っていた場合は、払いすぎた利息(過払い金)を取り戻す手続きができます。過払い金を取り戻すことができれば、借金の元本を減らすことができます。
任意整理で借金を減らした事例
借り入れ金額が高かったり返済期間が長かったりすると、支払うべき利息の金額も高くなり、毎月の返済の負担が大きくなります。
利息をカットして借金を早く終わらせた事例
任意整理前 | 任意整理後 | |
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元金 | 250万円 | 250万円 |
利息の合計 | 75万円 | 0円 |
返済期間 | 24か月 | 3か月 |
月々の返済額 | 13.5万円 | 83.3万円 |
上記の例では、利息をカットすることで借金完済のめどがつき3か月で思い切って返済しました。基本的には3年~5年程度の分割払いにして借金を返済するのですが、より早い借金問題の解決をすることが可能です。
分割払いにして毎月の返済額を減らした事例
任意整理前 | 任意整理後 | |
---|---|---|
元金 | 250万円 | 250万円 |
利息の合計 | 75万円 | 0円 |
返済期間 | 24か月 | 36か月 |
月々の返済額 | 13.5万円 | 6.9万円 |
上記の例のように任意整理をすることで、利息のカットと返済期間の延長による分割払いができます。
任意整理できる条件とできない条件
任意整理をすることで毎月の返済額を減らせる手続きで、毎月の返済が苦しい方にとって負担を軽減できます。しかし、経済状況などによっては任意整理ができない場合もあります。
ご自身が任意整理できる条件に当てはまっているかご確認ください。
任意整理できる人の条件
- 貸金業者から借り入れている
- 利息をカットした借金を3年~5年で返済できる収入がある
- 借金を完済するまで返済を続ける意思がある
- 毎月の収入がある
貸金業者から借り入れている
任意整理は貸金業者と直接交渉をする手続きです。貸金業者にとって任意整理はデメリットが多いように思われますが、それ以上に借り入れした人が返済不能になって貸し付けたお金を回収できないリスクがあるため、任意整理に応じる貸金業者は多いです。
利息をカットした借金を3年~5年で返済できる収入がある
任意整理をするためには3年~5年の間、毎月返済をすることが求められます。そのため、毎月返済できるだけの安定した収入があることが条件となります。
借金を完済するまで返済を続ける意思がある
任意整理をするためには、将来にわたって返済を継続する意思を貸金業者に示す必要があります。
過去に何度も滞納したり、返済日を過ぎてから返済する傾向が強かったり、あるいは何度も任意整理を繰り返したりしている場合、貸金業者に返済する意思を認められないため、任意整理できない可能性があります。
毎月の収入がある
安定した収入があることの証明として、会社員やアルバイトなど収入源がわかる状態であることが任意整理できる条件となります。任意整理をする場合、安定した収入源がなければ返済能力がないと貸金業者に判断されるためです。
また任意整理は、職業に関係なく専業主婦や主夫でも夫や妻に安定した収入源があれば手続きできる可能性があります。
任意整理できない条件
- 利息カットした借金でも3年~5年では返済できない
- 返済実績が全くない
- 任意整理に応じない貸金業者
- 裁判を起こされている
- 財産を担保にした借金
- 任意整理できないお金
利息カットした借金でも3年~5年では返済できない
任意整理では、貸金業者に払いすぎた利息(過払い金)があれば借金の元本にあてたうえで、完済までに支払う予定の利息をカットして、返済期間を3年から5年程度に延長する手続きです。毎月の返済額を減らすことができますが、完済するまで返済を続ける必要があります。
生活に必要な食費や家賃、公共料金などを差し引いても借金の返済が続けられるだけの収入がない場合は、任意整理できないことがあります。
返済実績が全くない
貸金業者から借りたお金を一度も返済していない場合、任意整理で返済額を減らしたところで返済してもらえないと判断されるため、貸金業者が任意整理に応じない可能性が高いです。
返済する意思があったけれども、収入が突然なくなったなどの理由で返済が難しい場合は、任意整理以外の方法を検討するべきです。
任意整理に応じない貸金業者
任意整理に応じてくれる貸金業者は多いですが、中には会社の方針で任意整理に応じない貸金業者もあります。任意整理は債務者と貸金業者との直接交渉をする手続きで、裁判所を通さないので法的強制力はありません。
裁判を起こされている
借金を滞納していて、貸金業者から督促の電話や督促状・催告書といった書類が届いている場合、貸金業者が水面下で貸し付けを回収するための裁判を起こす準備をしている可能性があります。また、貸金業者から裁判を起こされて、訴状が届く可能性もあります。
裁判は法律の適用によって貸金業者と債務者との問題を解決していく手続きになるため、裁判よりも効力が弱い任意整理による交渉は難しく、貸金業者に強制執行や差し押さえなどの法的手段を使って財産を回収される可能性が高いです。
財産を担保にした借金
住宅ローンや自動車ローンなどの財産を担保にした借金は、貸金業者が商品を回収してお金に換えることができるため、任意整理の交渉に応じてくれない可能性があります。
ローンを組んでいる貸金業者を任意整理の対象から外すことで、ローン返済中の商品を手放さずに、ローンをのぞいた借金の将来発生する利息をカットし、返済期間を3年~5年程度にのばし、毎月の返済額を減らすことができます。
任意整理できないお金
任意整理はすべての借金を減らせる手続きではありません。借金の中でも「非免責債権」に該当するお金は、返済する責任が免除できないので、任意整理で減額できません。
- 公共料金
- 税金や国民健康保険料、介護保険料
- 損害賠償金
- 養育費
- 罪を犯したときに発生した罰金
- 従業員の給与